高尾山 オンライン自然観察
秋 Autumn
秋の高尾山は賑やか。
9月の秋風とともに、夏の日差しと猛暑を避けていた登山者がお山に帰ってきます。
夏の間、北の地方や高山で涼しく過ごしていたアサギマダラたちが南下の旅の途中、高尾山に立ち寄るのは、アザミが咲く9月末から10月いっぱいの間。
ケーブルカーやリフトに長時間待ちの行列ができる紅葉シーズンは11月の後半がピークです。
リンドウの花が終わると、冬はもうすぐ。

September 27
オトコエシとアサギマダラ
秋の高尾山に来るアサギマダラはアザミが大好きで、見ていると一日中吸蜜しています。アザミの花蜜にはピロリジジンアルカロイド(PA)という彼らが必要とする成分が含まれているため、他の花よりも好むようです。PAは毒ですが多くの植物に含まれており、例えば蕗のとうのほろ苦さはPAのせいだとか。アサギマダラはこの毒で自分を毒化する生存戦略を採っているのです。高尾山で秋に咲くアザミは、アズマヤマアザミ、ノハラアザミ、トネアザミの3種類が代表的です。この子は寒がりさんなのか、9月末に一番で高尾山に到着し、まだ咲いていないアズマヤマアザミの横でオトコエシを吸蜜していました。
September 27
糸に足をかける
登山道脇のアザミにとまっていた子。私が通ったのでフワ〜っと舞い上がり、人がいなくなるまで木の枝で待機。kumoの糸に片足を掛けているの、見えますか? この大胆不敵な笑顔が好きです。この後またアザミに戻っていきました。


September 27
ススキの花
秋の七草は、万葉集の山上憶良の歌「萩の花 尾花 葛花 なでしこが花 おみなえし また藤袴 朝顔が花」が由来で、ふたつめの尾花(おばな)というのがススキのこと。ススキは昔茅(かや)と呼ばれ、茅葺き屋根の材料にするために茅場という場所で管理育成されていたとか。東京の茅場町も江戸時代にはススキの草原だったそうです。高尾山ではもみじ台から一丁平へ行く階段の道にたくさん生えていて、私の好きな景色です。
September 27
アカボシゴマダラの幼虫
エノキを食草とする外来種の蝶。同じエノキを食草とするオオムラサキやゴマダラチョウと競合する上、年1回発生のオオムラサキと比べてアカボシゴマダラは年に何度も発生するため、在来の生態系を壊す可能性があります。この蝶の侵入は、「放蝶ゲリラ」(!)による人為的な放蝶によると考えられているそう。ただ、オオムラサキはエノキの大樹を好み、アカボシゴマダラは幼木を好むという観察もあり、棲み分けがされているのではないかという説もあります。高尾山では人気者の幼虫です。エノキの葉っぱは途中からギザギザになっているので見分けやすいと思います。


October 1
テングチョウとノダケ
早春に飛ぶテングチョウは成虫で冬を越したど根性な子たちで、まだ寒い梅の季節に出会うと嬉しいものですが、そのあとはわりとよく見かけ、ありがたみが薄れてあまり撮りません(笑)。この被写体の組み合わせは、とても地味だけれど、かわいく撮れてお気に入り。スズメバチもノダケのお花レストランが好きなよう飛び交っていました。ノダケのみつ、いかにも滋味あふれてそうですよね。