9月の高尾山 大人の生物部に参加しました!
8月に引き続き、昆虫初心者の私と孫のこうたろう、そして今回初参加の娘と3人で参加。昆虫好きが集まって、虫の名前が飛び交う楽しい1日を過ごしました。

高尾山のブナは、奇跡の木
早速、長い8本の足をうまく操りながら歩いている昆虫を発見。ザトウムシだ。私の世代では、勝新太郎の座頭市を連想する。マユ先生が、「イギリスではDaddy long legs(あしながおじさん)というのですよ」と教えてくれる。なんて素敵な響きだこと。初耳!
1号路の左側の大きなブナにテイカカズラが、上の方まで巻き付いている。よく見るとV字型の長い鞘もぶらさがっている。
テイカカズラの花は、5月ごろ白い花を咲かせる。とても香りがいい。私は、花を見るといつも扇風機のプロペラを思い出す。
テイカカズラの由来は、鎌倉時代の歌人の藤原定家が天皇の娘、式子内親王に恋してしまい、親王の死後も葛になり墓に絡みついたという能の「定家」にもとづいているとマユ先生のご説明。由来は知っていたが、能の演目に「定家」があるとは、またまた初耳だった。
ブナは、東北地方の白神山地など雪が積もる寒い地方で自生する、冷温帯地方の樹木の象徴でもある。が、なぜ温暖な高尾山に生えているのか? 実は江戸時代の1700~1800年頃小氷河期があり、その頃芽生えたブナたちが今日まで生きているとのこと。こんな都内に近い高尾山でブナを見ることができるブナは、奇跡の木かもしれない。
ちいさな山は、虫の宝庫だった


浄心門の右に階段があり小さな山になっている。こうたろうはそこが気に入ったようで、母親に見せたいものがあると言うのでみんなで登った。
太い木の表面を素早く歩いている細いエビのような白い虫を発見。早速グーグル検索してみると、イシノミと出た。参加者の方が「イシノミは、翅を持たない古代の形の昆虫なんですよ」と教えてくれる。イシノミは、古代から今日まで命を繋いでいる凄い虫なんですね!
こうたろうが、マイマイカブリの幼虫を発見! マイマイカブリなんて、初めて聞くのに、さらに幼虫と判断するなんて、さすが昆虫大好き少年。
太い倒木の上をとことこ歩いている黄緑色のテントウムシのような虫は、チャバネアオカメムシだった。
アリが何かを背負いながら歩いている。よく見ると、ハート紋のエサキモンキツノカメムシじゃないですか。触ったらまだ生きているので、アリから逃がしてやった。自分より重い昆虫を担ぐアリは、すごい。後で、エサキモンキツノカメムを調べたら、その仲間にモンキツノカメムシもいることが分かった。
そのほか、シャクトリムシもいたが、何の幼虫か判別できなかった。
カンアオイは、1年で何cm移動?
カンアオイが生えていた。カンアオイはウマノスズクサ科多年草で、起源は極めて古い植物だという。花は紫色で地面すれすれに咲いて地味。咲き終わると実を付け種を出し、アリが運ぶ。カンアオイは、散布能力が大変低いために短い距離しか移動できない。1年で10cm程度だそうだ。1万年に換算すると、わずか1㎞程度で、極めて遅い速度で移動する。だから、カンアオイの生育地域は、古代の地域とさほど変わっていないのだそうで、1万年前の縄文時代の海岸線と一致するのだそうだ。大変興味深い話だった。
オオカモメヅルの小さな花が咲いていた。この植物はキジョランと同じ、アサギマダラの食草だそうだ。
薬王院

参道に栗のような大きい実が落ちている。トチの実だった。大変あくが強いので、栗のように食べられないが、あく抜きすればせんべいやお餅などに加工されているとのこと。
普段は閉まっている聖天堂が、ちょうどこの日、9月10日が年に一度の開扉の日で、僧侶の皆さんが法要されていた。開扉された聖天堂と法要の儀式を拝見できて、大変ラッキーだった。聖天様はガネーシャだそう。
カラムシの花が咲いていた。今まで、カラムシというと、葉っぱばかりの印象だったが、花に注目していなかった気がする。アカタテハの食草とのこと。
山頂付近でツルリンドウが咲いていた。近くにクサギカメムシも発見、臭さは、強烈らしい。
5号路を南に巻いて、もみじ平に着き、「細田屋」さんで昼食。とろろそばは、自然薯(?)しっかりこしのあるとろろそばで美味しかった。おにぎり等の持ち込みもOKで、お勧めの店です。
高尾山山頂

江川杉が植えてある北側の5号路から高尾山頂を目指す。途中、黒白の礼服調の虫が、道を横切る。アカスジキンカメムシの幼虫と参加者の方に教わる。
頂上では、やはり、コナラやクヌギの樹液にスズメバチがたくさん集まっている。そのハチたちを気にもせず、茶色い蝶が樹液を吸っている。よく見るとサトキマダラヒカゲのようだった。ヤマノイモの葉の裏にコスズメの幼虫を発見。
頂上の2本のカシワ、葉のほとんどが枯れている。これもカシナガキクイムシが原因なのだろうか? カシワは登山者の休憩に心地よい日陰を作っているので、元気に回復してほしい。
ここで解散となり、ケーブルカーで下山した。みなさんのおかげで、たくさんの発見ができ、楽しい生物部活動でした。ありがとうございました。