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高尾山 オンライン自然観察

​春 Spring

早春の花が次々と開花して、ヤマフジの紫がお山を彩り始めたら、さあ蝶たちの楽園のオープンです。

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May 3

オナガアゲハ

10年以上前のこと。母方の祖父が亡くなって、東京から山間の母の実家へ。お通夜の翌朝、目覚めるとわたしの布団の上に黒いアゲハがいたのです。古い農家の家なので入ってくる隙間はいくらでもあります。それにしてもそれまでこんなに大きな蝶が部屋に入ってきたことはありませんでした。「黒い蝶がいた」と親戚のみんなに言うと、口々に「ばあちゃんじゃろう」と笑います。先に亡くなった祖母がじいちゃんのお葬式に来たのだろうと。わたしもそうだとわかっていました。

蝶のことを古代ギリシャ語で「プシュケー」といい、その言葉は同時に心や魂を表したとか。青空と新緑を背景に、輝く羽が空から滑空して飛び交うのを見ていると、ここは天国かな?と思ってしまいます。

写真の白い花はミツバウツギです。

April 19

ウスバシロチョウ

蝶が1年に発生する回数を「化」と数えます。ウスバシロチョウは年1化、春だけに発生するため、スプリング・エフェメラル(春の妖精)と呼ばれます。卵で越冬して春に羽化し、産卵。その小さな卵が、暑い夏も寒い冬も乗り越えて、翌年の春まで耐えるのですから驚異的です。しかも、ウスバシロチョウは、幼虫の食草のムラサキケマンにではなく、ムラサキケマンの近くに落ちている小枝に産卵し、春に孵化した幼虫は自力でムラサキケマンを探し当てるそうです。優雅に飛ぶウスバシロチョウの1匹1匹が奇跡の命なのです。

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April 20

ウスバシロチョウ

この写真はウスバシロチョウのメスです。お腹の前側にうす茶色の物体が付いているのがお分かりでしょうか? これは「スフラギス」といって、交尾後にオスが取り付けたもので、この邪魔なものがあるせいで、ウスバシロチョウのメスは2度と交尾ができなくなります。なんだか理不尽ですね。いつか進化がすすんだ未来、この貞操帯を除去できる能力を身につけ、メスは好みのオスと交尾してより優秀な子孫を残す選択ができるようになるかもしれません。

May 3

アオスジアゲハ

蝶たちを見ていると、小さな儚い生き物たちの生存戦略として、こんなに美しくある必要があるのかなと不思議な気がしてきます。それとも彼らを美しいと思う私たちの心のほうが、生存のために進化した結果でしょうか。

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April ​29

アオバセセリ

小さいアオちゃん、お尻の写真なんか撮ってごめんね。横からの写真で、羽のオレンジ色の部分が折り畳まっているように見えるのは、実はこんなふうにエレガントな曲線だったのですね。小さな体に大きなお目目のかわいい子ですが、ひとりでナワバリを張って他の大きな蝶たちを追い払おうとビュンビュン飛んで大忙しです。一匹狼的な性格なのでしょうか。

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